近年では、たくさんの企業が環境に配慮した経営活動を行っています。
企業の社会的立場が求められるようになった現代社会で、製造業も変革の時代を迎えています。
そこで今回の記事では、製造業における脱炭素化についてご紹介します。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

□製造業が脱炭素化に取り組むべき理由とは?

地球温暖化の深刻化が顕著になっていく中、多くの企業や人々が環境を守るために活動しています。
地球温暖化は地球の表面温度を上昇させ、それにより私たち人間を含む多くの生態系を変化させています。

この生態系の変化は、多くの種の絶滅を招き異常な気候変動を引き起こしています。
近年多くなった、干ばつや大豪雨、大型の台風なども地球温暖化がすべての根底にあるとされています。

地球温暖化のこれ以上の深刻化を避けるためには、温室効果ガスの排出を削減しなければいけません。
特に製造業での脱炭素化が叫ばれるのには、2つの理由があります。

1つ目は、製造業における二酸化炭素排出量の多さです。
2019年度の二酸化炭素排出量は約11億794万トンでしたが、部門別に見てみると排出量が最も多いのは、製造業を含む産業部門でした。
製造業も含む産業部門の二酸化炭素排出量は、実に全体の3分の1を占めています。

この排出量の主な原因は、製造業が製品製造段階で化石燃料由来の資源に頼っていることにあります。
脱炭素問題は決して日本独自の問題ではありませんが、日本は2050年までにカーボンニュートラルを取り入れることを提言しています。

この提言を実現させるためにも、二酸化炭素排出量の多くを占める製造業は変革を必要としています。
化石燃料由来の資源に頼る製造から、風力や太陽光など再生可能エネルギーを元にした製造が必要となっています。

2つ目は、日本の製造業が持つ高い脱炭素技術です。
実は、日本は水素や太陽光をエネルギーとして商品を製造する高い技術を持っています。

例えば、水素自動車です。
ガソリンで動くことが基本と考えられていた自動車も、今では日本の自動車会社の多くが水素を利用して運転する水素自動車を開発しています。

この技術力を製造業のその他のシーンでも利用することで、製造業のカーボンニュートラル実現に大きく役立ちます。
また、製造業のみ止めることなく、日本国内から世界へとこの技術をシェアすることで地球規模でカーボンユートラル実現へと繋げられます。

□製造業に求められる脱炭素化について

それでは、具体的にどのように脱炭素化を進めていけば良いのかみていきましょう。
主に考えるべきことは、3つあります。

1つ目は、製造業における資源消費効率の改善です。
例えば、鉄鋼業で銑鉄を製造する時に使用するのが「高炉法」です。
この方法で銑鉄を製造すると、大量の二酸化炭素が排出されます。

大量の二酸化炭素排出を避けるためにできることは、新設備を導入して排出割合を削減することや、電炉を使用して二酸化炭素を排出しやすい方法を使わないようにすることです。

2つ目は、再生可能エネルギー開発の競争力の強化と改善を継続することです。
脱炭素化社会を実現するためには、それに取って代わる代替エネルギーが必要不可欠です。
再生可能エネルギーの開発や、再生可能エネルギーを使用したサービスや商品市場の競争力を強化させ、市場を発展させる必要があります。

継続的に市場を発展させるためには、インセンティブなどの導入が求められています。
現段階では、地球温暖化税の創設などが議論されています。

3つ目は、最先端の技術の開発、供給、普及です。
たとえ二酸化炭素の排出量を格段に減少できる技術が開発されたとしても、それを実用化して市民一般が使用できるようにならなければ環境保全に対して大きな影響を与えることはできません。

これらの技術を普及させるには、安全安心な商品開発を進めるとともに、二酸化炭素排出を削減できているのかどうか測る指標が必要となります。
基準を設けることにより、これらの二酸化炭素排出を削減する商品が市民の間で広く普及するようになるでしょう。

□脱炭素経営のメリットとは?

それでは最後に、製造業が脱炭素化経営に舵を取るメリットについてご紹介します。

1つ目は、顧客の確保です。
脱炭素化の勢いは企業だけでなく、世界中の消費者の間で広まっています。
消費者の中には、製造過程に関わる下請け業者などがしっかりと環境に配慮した製造を行っているかを商品を選択する時の1つの基準にする方もいます。

2つ目は、燃料費等の削減です。
脱炭素化を進めていくと、これまで浮き彫りになっていなかった非効率なプロセスが発見されます。
これは、光熱費や燃料費を削減することに繋がります。

3つ目は、資金調達が有利になることです。
すでにいくつかの金融機関では、融資する企業の選定条件の中に温暖化対策をとっている企業を優遇する措置が取られています。

□まとめ

今回の記事では、製造業における脱炭素化の動きやメリットについてご紹介しました。
脱炭素化は、世界中の話題の中心です。
製造業が脱炭素化へシフトすることは、製造業をさらに展開させていくだけでなく、新たなフィールドを開拓することにも繋がります。

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