溶接工場で換気が義務付けられたことをご存知でしょうか。
実は2021年(令和3年)4月1日から特定化学物質障害予防規則が改正されました。
溶接工場の経営者の方はぜひとも知っておきたい内容ですよね。
今回は、溶接工場経営者の方に向けて、換気について紹介します。

□規則改正に関する概要を紹介

冒頭でも紹介したように2021年の4月1日から特的化学物質障害予防規則が改正されましたので、ここでは義務化される対策について紹介します。

まず1つ目は、全体換気装置による換気の実施です。
これと同等以上の措置を取ることも認められています。

2つ目は、溶接ヒュームの濃度測定です。
測定の結果がマンガンとすると、0.05mg/㎥以上等の場合です。

3つ目は、換気装置の風量増加です。

4つ目は、再度、溶接ヒュームの濃度測定です。 

5つ目は、測定結果に応じて有効な呼吸用保護具を選び、従業員に使用させることです。

6つ目は、1年以内ごとに1回フィットテストを実施することです。
フィットテストとは何かと疑問に思う方がいらっしゃるでしょう。
これは装着する保護具が適切に装着されているか、装着できているかを確認することを指します。 

1つ目の内容は、2021年の4月に施行されています。
2つ目から6つ目の内容に関しては、2022年(令和4年)3月31日まで経過措置を取ることとなっています。

□規則改正の詳細について

ここまでは義務化されたことについて簡単に説明してきました。
ここからはより詳細な改正内容を紹介していきます。

まずは、全体換気装置についてです。
屋内の作業場に関しては全体換気装置による換気または同等以上の換気が必要であることを紹介しました。

全体換気装置とは、作業場以外の場所から清浄な空気を取り込み、作業場内で発散している有害物質と混合したり、希釈したりしながら作業場外へと排出する換気方法です。
有害物質の濃度を有害にならない程度まで下げて排出するという点が特徴的ですね。

では、同等以上の換気とは具体的には何のことを指すのでしょうか。
具体的には2つあります。

1つ目は、局所排気装置です。
こちらは有害物質をダクトによって屋外へと排出する装置です。
有害物質の発生源の近くに吸い込み口を設置します。
そして、常に有害物質を吸引するような気流を作り出します。

2つ目は、プッシュプル換気装置です。
こちらは有害物質の発散源を挟み込み、吹き出し口と吸い込み口を向かい合わせて設置する換気方法です。
移動しながらの作業や複雑な形状の作業にも対応できるという特徴があります。

次は、掃除についてです。
金属アーク溶接等の作業を従業員に従事させる場合は、作業場の床などを水洗によって簡単に洗えるような構造にする必要があります。
また、水洗等粉塵の発散しない方法によって毎日1回以上掃除する必要があります。

次は、作業主任者の選任についてです。
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習を終了した方を選ぶ必要があります。
選任された方は、有害物質により従業員が汚染されたり、吸入したりしないように指揮を取る必要があり、保護具の使用状況を監視する必要もあります。

次は、特殊健康診断の実施についてです。
診断結果は従業員に伝えたり、結果を5年間保存したりとさまざまな規則がありますので、ご自身でもよく確認することをおすすめします。

最後に、そのほかの措置について紹介します。
・安全衛生教育
・ぼろ等の処理
・不浸透性の床を設置すること
・立ち入り禁止措置
・有効な呼吸用保護具の備え付け
・運搬貯蔵時の容器等の使用
・休憩室の設置
・洗浄設備の設置
・喫煙または飲食の禁止

□規則が改正されることになった理由とは

ここまでは改正内容を中心に紹介してきました。
ここからは改正されることとなった理由を紹介します。

金属アーク溶接等をする際には溶接ヒュームが発生しますよね。
今まではこの物質は粉塵として健康障害を引き起こさないように防止対策を講じてきました。
しかし、この物質は労働者への健康障害の危険性が非常に高いことが認められ、それによって、特定化学物質に追加され、粉塵対策以外の対策も必要であるとの判断が下されました。
具体的な対策としては、ばく露防止措置などが挙げられます。

特定化学物質が気になるという方もいらっしゃるでしょう。
これは労働安全衛生法によって規定された、労働者が体内に取り込むと健康障害を起こす可能性が高い化学物質のことです。

以上が改正の理由です。
労働者の安全を確保するためにも改正内容を十分に理解して経過措置の間に対策を済ませられるようにしましょう。

□まとめ

今回は、溶接工場経営者の方に向けて、換気について紹介しました。
改正内容や改正の理由についてご理解いただけたでしょうか。
なかなか難しい内容だったのでよくわからないという方もいらっしゃるでしょう。
ご不明な点などがございましたらはお気軽に当社までお問い合わせください。

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