「カーボンニュートラルってどういったものか教えてほしい」
「カーボンニュートラルを実現するためにはどうした良いか知りたい」
カーボンニュートラルと聞いてもいまいちピンと来ない方は多いですよね。
工場を経営している方にとってはとても重要です。
そこで今回は、カーボンニュートラルとは何か、課題や事例、指標について紹介します。

□カーボンニュートラルとは

ここではカーボンニュートラルがどういったものなのかについて紹介します。
すでに知っているという方も念の為確認しておいてくださいね。

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにするという考え方のことです。
温室効果ガスには、二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素などが存在します。
これらのガスをゼロにしたいのですが、一切排出しない状態を目指すのは現実的に難しいですよね。

そこで今目指しているのが、排出した分のガスと同じ量だけ吸収したり除去したりすることです。
つまり、排出した分は自分達で処理して新たにガスが増える状態を無くそうということです。

以上がカーボンニュートラルの説明なのですが、似たような単語でカーボンオフセットという言葉を聞いたことがあるという方はいらっしゃるでしょうか。
こちらは、温室効果ガスの排出量ゼロを目指した取り組みのことを指します。
一見、カーボンニュートラルと一緒ではないかを思う方も多いでしょう。

具体的な違いとしては、カーボンニュートラルは自らが作り出したガスは自分たちで削減するものです。
カーボンオフセットは、自ら作り出したガスは自分たちで削減しようと努力をします。
しかし、それでも排出量が上回る場合に、他の場所や人に頼り代わりに埋め合わせを行うというものです。

□カーボンニュートラルを実現するためには

では、このカーボンニュートラルを実現するためには、どうしたら良いのでしょうか。
どのような課題があり、どういった取り組みが行われているのかを見ていきましょう。

まずは課題について紹介します。
主な課題は以下の2つです。

費用対効果とモチベーションの維持
温室効果ガスの削減は、費用対効果の高いものから進めていくかと思います。
排出量の目標値が高ければ高いほど、費用がかかります。
2030年以降は、これまでよりもさらにカーボンニュートラルの勢いが増し、企業の負担も大きくなることが予想されます。

また、効果が分かりにくいためにモチベーションが低下したり、省エネ効果に対する責任が不明瞭だったりも課題となっています。

イニシャルコストの捻出
省エネ設備への変更は非常に効果がありますが、イニシャルコストが大きくなりがちです。
企業によってはコストも面で買い替えが難しいこともありますよね。
また、新しい設備の導入は製造過程全体との調査や生み出す利益の不透明性からも決断しにくいでしょう。

では、課題を踏まえた上でどういった取り組みが行われているのかを確認していきましょう。

・鉄鋼分野
鉄鋼業においては、基本的に鉄鋼石とコークスと呼ばれる原料をもとに製鉄が行われています。
その過程で大量の二酸化炭素が排出されます。
最新技術を搭載した設備を排気口へ設置して排出前に回収することで対応しています。

・化学製品分野
有効に使えないエネルギーを可能な限り削減したり、バイオマスや二酸化炭素を利用して化学品を製造したりといった方法があります。

・エネルギー転換、供給分野
工場では、電気や燃料などさまざまなエネルギーを蒸気や冷水に変換して利用しますよね。
多くの場合、配管を通じて気や冷水を供給していると思います。
しかし、この方法ではエネルギーの損失が発生しやすいです。
この問題を解決する技術が「ヒートポンプ」です。
これは圧縮と膨張によって温度が変わる気体の性質を活用した技術で、エネルギーを、無駄なく使用できます。

□カーボンニュートラルの指標を紹介

カーボンニュートラルを実現するために、重要な指標についても紹介します。
指標は2つだけなので、ぜひ覚えていってくださいね。

1つ目は、Enplです。
こちらはいつどこでどれだけのエネルギーが使用されているのかを把握するための指標です。
日本語では、エネルギー性能指標と言います。
工場の責任者はエネルギー使用量やエネルギー原単位を、製造部門ではエネルギー使用量の過去比較を確認できます。

2つ目は、FEMSです。
こちらはエネルギーの管理システムのことです。
無駄なエネルギーの使用がないか、負担の大きい設備がないかを特定してくれるシステムです。
そして、エネルギーの無駄遣いの削減、必要な場所へのエネルギーの供給が可能です。

また、エネルギーの使用状況を見える化できます。
このシステムを活用することで、対策をとりやすくなるでしょう。

□まとめ

今回は、カーボンニュートラルとは何か、課題や事例、指標について紹介しました。
カーボンニュートラルについてご理解いただけたでしょうか。
課題や取り組み事例を参考にしていただければ幸いです。

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