排気ダクトは、工場内で発生する排気ガスや煙、熱などを効率的に外部に排出するためのシステムであり、工場全体の安全性と生産性を維持するために欠かせない設備です。
工場では、製造工程や設備の稼働中に様々な有害物質が発生するので、これらを適切に処理するために、排気ダクトの定期的なメンテナンス工事が必要不可欠になります。
この記事では排気ダクトの種類から、ダクトを効率的に運用するためのメンテナンス工事の重要性、実際の工事事例について紹介いたします。
排気ダクトとその他ダクトの種類
工場では主に煙、蒸気、油煙、有害物質などを排出するための排気ダクトが使用されますが、それ以外にも用途や役割によって様々な種類のダクトが存在しますので、いくつかご紹介します。
空調ダクト
空調ダクトは、建物内の空気を適切に分配し、室内の温度や湿度を一定に保つために使用されます。主な用途は、オフィスビルや商業施設、工場などで空気を供給するための送風路として、空気の取り入れ口から各部屋へ新鮮な空気を送り出す一方で、汚れた空気を排出する役割も果たします。
空調ダクトが使用される環境は、データセンターやクリーンルームなどの温度や湿度の管理が重要な場所です。
また、湿気や化学物質が多い場所では、耐腐食性や防水性を持つダクトが選ばれます。空調ダクトの適切な設置と管理により、室内環境の快適性とエネルギー効率が大きく向上します。
厨房排気ダクト
厨房排気ダクトと聞くと、飲食店の厨房などのイメージが強いですが食品工場などでも多く使用されます。
こちらの厨房排気ダクトは調理中に発生する高温の空気や煙、油煙、蒸気、臭気などを排出するために使用され、厨房内の空気を清潔に保ち、火災リスクを低減しまするために高い換気能力が求められます。
集塵ダクト
集塵ダクトは、工場や作業現場で発生する粉塵や微細な粒子を効率的に集め、空気中から取り除くために使用されるダクトです。
これにより、作業環境の安全性と衛生を確保することができます。
集塵ダクトの特徴として硬くて鋭い粉塵や粒子に耐えるため、耐摩耗性に優れた材質を使われているものや強力な吸引力を持つファンやフィルターが組み込まれているものが多いです。
排煙ダクト
排煙ダクトは、火災時に発生する煙や有害ガスを迅速に建物外へ排出するための重要な設備であり、工場や倉庫、高層ビルなどの可燃性の物が多い場所や人が密集している場所で、災害の被害を最小に抑えるために重要な役割を果たすダクトになります。
ダクトメンテナンスの重要性
製造業の工場において排気ダクトは、排気、換気、空調、煙排出など様々な重要な役割をになっているため、排気ダクトの故障は製造ライン全体へ影響します。
工場全体の生産性が低下するだけでなく、従業員の健康被害やダクトの修理コストやまた、他の設備の生産停止や追加の労務費用も含めると、修理コストは非常に高額になります。
排気ダクトの耐用年数は平均で約10~15年と言われており、使用環境次第で大きく左右されるため、ダクトのメンテナンスを日常的に行うことは非常に重要になります。
実際に排気ダクトの寿命を延ばすメンテナンス工事を紹介します。
1.ダクト内部の清掃
排気ダクトの内部に堆積した粉塵や油脂分などを放置すると空気の流れを妨げ運動効率の低下につながります。
定期的な目視の確認だけでなく、専門業者による高圧洗浄やブラシなどを用いた定期メンテナンスが重要です。
2.フィルター清掃・交換
排気ダクトに設置されているフィルターは目詰まりを起こすと、排気効率が低下し、ダクトに余計な負荷がかかることでエネルギー効率が低下するため、定期的にフィルターの清掃と交換をする必要があります。
フィルターの清掃として、エアコンプレッサーで表面に付着した粉塵や汚れを飛ばしたり、またフィルターの劣化が進んでいる場合はフィルターの交換が必要になります。
3.排気ファンの点検・整備工事
排気ダクトのファンが正常に動作しないと、ダクトの排気能力が低下することによって工場内に有害物質が滞留することで事故や健康被害の恐れがあります。
具体的なメンテナンス工事例として、排気ファンは故障前に異音などの初期症状が現れるためファンのベアリングやモーターの動作点検や各部品の潤滑油の補充などを行う必要があります。
4.腐食部分のメンテナンス工事
化学部品や湿気が多い環境下で稼働する工場では、化学物質などによりダクトに錆びや腐食が進行することが多々あります。
ダクトの腐食部が一部であれば部分的な修理や表面修理で解決しますが、放っておくとダクト自体の交換が必要になり工事コストが高くなるだけでなく工場全体の生産性にも大きく影響するため、異常発見時には素早いメンテナンス工事が必須となります。
具体的なメンテナンス工事として、腐食部分の表面研磨や該当部分を取り除くことで金属プレートの溶接を行い、防錆塗料などを塗布することで再発防止に努めます。
5.断熱材工事
上述でもある通り、工場の排気ダクトは工場内の空気や熱を運ぶ重要な役割を果たしていますが、保温メンテナンスが定期的に行われておらず、ダクトが外部にむき出しになっていると工場内外の温度差により配管や天井などに結露が発生し、腐食や水漏れなどの問題に発展します。
メンテナンス工事内容としては、ダクトに保温材と使用環境に応じた適切な断熱材の設置を専門業者が行う必要があります。こちらの二つを設置することによりダクトの運転効率改善と断熱材による火災リスクの低減により設備の寿命を延ばすことが可能です。
排気ダクト工事事例
ダクト保温材更新工事
既設ダクトの老朽化により、ダクトの保温材とブリキ鋼板の更新を検討することとなりました。
このダクトは建物の空調システムにおいて重要な役割を果たしており、特に火災発生のリスクを減らすために、保温材とブリキ鋼板の更新工事を実施しました。
ダクト補修工事
お客様より、工場内の蒸気ダクト内にドレンがたまらないようにしたいとのご要望があり、現地調査から打合せ後、適切なダクト設置工事を行いました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。排気ダクトは工場全体の安全性と生産性維持のために欠かすことのできない設備です。当社は排気ダクトの設置工事から清掃、メンテナンス工事まで多くの実績がございます。
それぞれの現場に合わせた最適なご提案をいたしますので、排気ダクトでお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。