天井クレーンの設備をお持ちの方の中には、クレーンの点検についてよくわかっていない方もいるでしょう。
しかし、定期的な点検を怠ると、工場でお勤めの方に危険が及ぶこともあります。
そこで今回は、天井クレーンの点検の重要性と具体的な検査の内容についてお伝えします。
ぜひ参考にしてくださいね。

 

□クレーン点検の重要性について

天井クレーンは、数百トン以上の重量物を運搬することもあるため、普段から消耗が激しい部分です。
走力となるモーターや、制動をつかさどるブレーキ、基礎を構成する部品やパーツなどさまざまなパーツがクレーンを支えています。
そのため、これらのパーツがひとつでも劣化したり破損したりしていると、業務中の不具合などにつながります。
設備に不調が生じて、業務を中断しなければいけないリスクを抑えるためには、定期的な点検やメンテナンスが必要になります。

クレーン設備をお持ちの方のほとんどは定期的に点検を行っているでしょう。
しかし、中には点検を怠ったために送検される結果になったケースもあります。

福岡県のメッキ会社では、およそ300キログラムのアルミ板を吊り上げる際に重機と走行レールが倒壊する事故が発生しました。
倒壊した重機とレールは作業員に激突し、作業員はのちに死亡しました。

この会社が取り扱っていたクレーンは、吊り上げ荷重2トンのものです。
重量が比較的軽いため、自主点検を軽視していたのかもしれません。
しかし、工場長が安全衛生法第45 条(定期自主点検)違反の疑いで送検されました。
担当した労働署によると、定期検査を実施する体制がなく、点検に必要な資材も十分にそろっていなかったということです。

このように、定期的な点検を怠ると、のちのち大事になる可能性もあります。
重量が軽いタイプだからと軽視した結果、労働者を危険にさらしてしまった例もご紹介しました。
そのため、クレーンを使用している工場では、ぜひ、定期的な点検を継続して行っていただきたいのです。

 

□義務付けられている点検内容は?

この項では、天井クレーンの設備点検の内容や検査の対象箇所、点検にかかる費用などを紹介します。 

*義務付けられている点検内容は?

労働安全衛生法によって、天井クレーンの点検は義務付けられています。
1か月に1度の点検と、1年に1度の点検で検査内容が異なります。
設置した業者による点検も行われる必要があります。

対象となるのは、吊り上げ荷重0.5トン以上のクレーンと、安全規則の適用対象となるデリック、エレベーター、リフトなどです。
設置している設備が対象になるのか、きちんと確認しておきましょう。

点検の対象箇所は次の8項目です。

・走行機械装置
・ランウェイ部分
・鋼構造部分
・潤滑装置
・安全装置
・横行機械装置
・荷重試験
・電気関係の点検

それぞれ項目ごとの検査を行い、検査結果の保管体制も整えておきましょう。
検査結果は3年間の保管記録が義務付けられています。

*点検費用について

天井クレーンの点検費用は、クレーンの大きさや荷重の大きさによって異なります。
目安としては、次のようになっています。

5トン未満 17000円程度
5~10トン 22000円程度
10トン以上 30000円程度

また、休日や年末年始に行うと追加料金がかかるケースもあります。
一方、平日には時間内割引があったり、まとめて申し込むと割引になったりする場合もあります。

点検業者を選ぶ際には、厚生労働省の「定期自主検査者安全教育要領」を考慮しているかを確認しましょう。
この通達をもとにカリキュラムを組んでいる点検業者は信頼できるでしょう。
また、メンテナンス計画をしっかり提示してくれるかも大切なポイントです。

 

□具体的な検査内容について

点検の大まかな内容についてお分かりいただけたところで、続いては具体的な検査内容をお伝えします。
点検には次の3つがあります。

・月次定期自主検査
・年次定期自主検査
・作業開始前点検

それぞれ詳しく解説します。

1つ目は、月次定期自主検査です。
この検査は、1か月に1度行う必要があります。
検査項目は次の点です。

・過巻防止装置や過負荷警報装置などの安全・警報装置と、ブレーキおよびクラッチ
・ワイヤーロープおよびチェーン
・フックやクラブバケットなどの吊り具
・配線、集電装置、配電盤、開閉器・コントローラ
・ケーブルクレーンにあたっては、メインロープやレールロープ、ガイロープを緊結している部分ならびにウインチの据付けの状態

2つ目は、年次定期自主検査です。
この検査は、1年に1度行う必要があります。
検査項目は次の点です。

・構造部分、機械部分、電気部分
・ワイヤロープまたは吊りチェーン
・吊り具
・基礎部分
・荷重試験

3つ目は、作業開始前点検です。
クレーンを使用する前に、安全のために点検をする必要があります。
検査項目は次の点です。

・巻過防止装置、ブレーキ、クラッチおよびコントローラ
・ランウェイの上およびトロリが横行するレールの状態
・ワイヤロープが通っている箇所の状態

 

□まとめ

今回は、天井クレーンの点検についてお伝えしました。
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