「工場内の生産性を向上させたい」
このようにお考えの方は多いでしょう。
実は、工場内の生産性と室温は無関係ではありません。
そこでこの記事では工場の生産性を上げるための対策をご紹介します。

□工場の生産効率を上げるには工場内の温度が重要です!

工場内の生産効率は、工場内の温度と密接に関係しています。
公益財団法人空気調和・衛生工学会が行った実験をご紹介します。
2004年の2月から1年間、コールセンターで勤務する方を対象に、室温と作業効率がどのように関係しているのかを調べました。

すると、室温が25度から26度に上昇することによって、電話の平均応答件数が1時間あたり7.75件から7.59件に減少したことがわかったのです。
つまり、2.1パーセントほど作業効率が低下してしまいました。

また、コーネル大学が行った研究によると、ある保険会社の室温を20度から25度に上昇させると、社員のタイプミスが44パーセント減少し、タイピング量も1.5倍に増えたようです。
作業内容に関係なく、作業効率を上げるには、室温は非常に重要な要素の1つだということがわかりますね。

加えて、日本産業衛生学会が発表している室温の許容基準をご紹介します。
極軽作業では32.5度、軽作業では30.5度、中等重作業では27.5度から29.0度、重作業では26.5度が許容基準として定められています。

ただ、これはあくまでも目安であり、他の組織によって発表されたデータとはズレがあるので注意してくださいね。

このような様々な組織の実験からも分かる通り、工場の室温は作業効率に大きな影響を与えていることがわかっていただけるでしょう。

しかし、適温にする理由はただ作業効率を落とさないためだけではありません。
室温を快適にすることは、暑さによる工場内での事故発生を防ぐためという理由もあります。

暑さで体調を崩す従業員が現れると、労災事故につながる危険性があります。
体調不良者が出ると人手が足りなくなり、工場の稼働ペースも遅れてしまうかもしれません。
工場には会社の売り物になる商品もありますから、事故で通常の運営ができないとなると、売上高にも悪影響が出るでしょう。

□工場でできる暑さ対策をご紹介!

工場でできる暑さ対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここではオススメの対策を4つご紹介します。

*屋根用スプリンクラーを導入する

工場の屋根は非常に温度が上がりやすいです。
そのため、それ自体を冷やすというアプローチが有効になってきます。
屋根用スプリンクラーは屋根の上で水を噴射し、蒸発という現象を利用して温度を下げます。

液体が蒸発する際、周りの熱を吸収して気体になります。
その熱は屋根から奪われるため、水が撒かれた周辺の温度は低くなるという仕組みです。
玄関でよく行われている打ち水と同じ原理ですね。

屋根用スプリンクラーの構造は非常にシンプルですから設置にも時間がかかりません。
工期も非常に短く一日あれば完了するのでぜひ設置を検討してみてくださいね。

*シーリングファンを導入する

工場の外に設置する設備として屋根用スプリンクラーをご紹介しました。

一方で、工場内部に設置する暑さ対策のための設備としてオススメなのが、シーリングファンです。

業務用の大型扇風機は、家庭用の製品とは大きさが全く異なります。
比較にならないほど羽が大きく、回転させることによって強い風を生み出せます。
シーリングファンのような大型扇風機のメリットは、コストが安いことや排熱が発生しないことの2つです。

シーリングファンでは基本的にモーターしか電力を消費しないため、光熱費を安く抑えられ、エアコンと比較してもランニングコストは小さいでしょう。

*スポットクーラーを導入する

スポットクーラーとは、その名前からも連想できるように、室内を全体的に冷やすのではなく、局所的に温度を下げるための設備です。
冷たい風をピンポイントで当てることによって、効率よく冷やせます。
簡単にいうと固定されていないエアコンのようなもので、状況に応じて当てる場所を変えられます。

スポットクーラーをレンタルしている業者もありますので、お試しで使ってみたいという方はぜひ連絡してみると良いでしょう。
設置する際の工事は必要なく、工場に届いた日から使い始められます。

*遮熱シートを貼り付ける

工場が暖まる原因を知るには、伝導熱や対流熱、輻射熱の3つを理解することが重要です。
熱を止めるものとして断熱材が有名ですが、それでは輻射熱を遮ることはできません。
室内に侵入してくる熱のほとんどは輻射熱だと言われており、輻射熱を防がないと工場内の快適性を確保できないでしょう。

輻射熱を止めるためにオススメのアイテムが遮熱シートです。
遮熱シートとは、アルミ箔をシート状に加工したものです。
輻射熱は電磁波に乗って運ばれてくるため、物体を通り抜けてしまうのですが、アルミ箔はこれを97パーセント反射する性質があります。

遮熱シートを屋根や外壁に取り付けることによって、建物内部に入ってくる輻射熱を大幅に減少させられるのです。

□まとめ

工場の生産性を上げるためには、工場内部の温度を適温にすることが重要です。
今回ご紹介した4つの方法を適宜取り入れて、快適な環境にしてくださいね。

関連記事