​​「脱炭素化について耳にしたけど、詳しいことがわからない」
「脱炭素化のメリットや具体的な対策について教えてほしい」
このようにお考えの方は多くいらっしゃるでしょう。
脱炭素化と言われてもあまりイメージがわかないですよね。
そこで今回は、工場での脱炭素化のメリットや具体的な施策について紹介します。

□脱炭素化とは何か

そもそも脱炭素化が何かわからないという方は多くいらっしゃいますよね。
聞いたことはあってもどういった意味かを知っている方は少ないです。
ここでは脱炭素化が何かと日本が脱炭素化に向けて掲げている目標について紹介します。

脱炭素化とは、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの排出を抑えようとする運動のことを指します。
温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスがあります。
地球温暖化は、大気中の温室効果ガスの濃度が上昇し、地球の表面の温度が上がることです。

温室効果ガスの中でも、とりわけ問題となっているのが二酸化炭素です。
石炭や石油の消費、セメントの生産などにより大量の二酸化炭素が大気中に放出されます。また、大気中の二酸化炭素の吸収源である森林が減少しています。
これらの結果として大気中の二酸化炭素は年々増加しています。

日本では、2020年に菅総理が「2050年カーボンニュートラル宣言」をしました。
内容としては、温室効果ガスの排出をゼロにするというものです。
しかし、実際は完璧にゼロにするというのは厳しいです。
そこで、菅総理が採用したのは、カーボンニュートラルという考え方です。

これは排出した分の温室効果ガスを吸収したり除去したりして、実質的にゼロにするというものです。

□脱炭素化のメリットとは

ここまでの内容で脱炭素化がどういったものかはご理解いただけたかと思います。
脱炭素化が重要ですがそういった取り組みを行うメリットが知りたい方もいますよね。
ここからは脱炭素化の5つのメリットを紹介します。

1つ目は、競争力の強化と顧客の確保です。
原材料や部品調達の段階を含めた事業全体で脱炭素化に向けた活動を行なっている企業が存在します。
脱炭素化を進めておくと、顧客を失う可能性は大いに減らせるでしょう。

2つ目は、光熱費や燃料費の削減です。
脱炭素化は、省エネによっても実現可能です。
省エネということは、光熱費や燃料費の削減につながりますよね。

3つ目は、知名度の上昇です。
脱炭素化に向けた積極的に活動していたり、大きな成果を残したりすると、新聞やテレビといったメディアから大きく取り上げてもらえることがあります。
そうなると、世間的な評価が高まり、知名度は高くなるでしょう。
世間のイメージが良くなると、その分顧客も集まりやすくなりますね。

4つ目は、人材獲得と社員モチベーションのアップです。
脱炭素化に向けた活動は世界の関心事です。
課題解決に向けた活動をする姿勢は、社会課題に関心を持つ優秀な人材から共感を得やすいでしょう。

5つ目は、資金調達が有利になることです。
金融機関では、すでに地球温暖化の対策を進めている場合に、融資条件を優遇するといった措置が始められています。
脱炭素化に関心を持つ企業が増えている中で、そうでない企業は世論から注目され、金融機関からも厳しい対応を受ける可能性はありますよね。

□製造業にできる脱炭素化について

メリットがわかったところで早速脱炭素化に向けて何か始めようと思った方も多いでしょう。
しかし、いざ始めようとすると、何をしたら良いかわからないという声はよく聞きます。
ここでは製造業でできる脱炭素化について紹介しますね。

エネルギー消費効率の改善
鉄鋼業では、鉄鉱石とコークスを原料に銑鉄を製造する「高炉法」が主流です。
しかし、この方法は多くの二酸化炭素が排出されます。
新型設備を導入すれば、二酸化炭素の排出量を20パーセント減らせる可能性があります。
また、二酸化炭素排出量を4分の1に抑えられる鉄スクラップを利用するのもおすすめです。

化学工業では電力をたくさん使用しますよね。
製造技術の進化によってエネルギー消費量を抑えたり、再生可能エネルギーを使用したりすることをおすすめします。

製造現場以外の部門への注力
環境省の調査では、二酸化炭素排出量が運輸部門18.6パーセント、家庭部門14.4パーセントで、全体の33%を占めています。
関係メーカーの脱炭素化も無視できない状態です。
積極的な脱炭素化を進めていきましょう。

競争力の強化や継続的な改善を行う仕組み
2050年の目標を達成するためには、スピーディかつ高いレベルで問題解決をする必要があります。
そこで求められるのが、継続的な取り組みや企業間の競争力を強化することです。
今まで以上の成果を出すためには、こうした取り組みは欠かせないでしょう。

・最先端技術の研究開発と世界最速の実用化、普及拡大
国内製造業が二酸化炭素の排出を大きく削減する製品を開発しても、普及が進まなければ利益が出ませんよね。
普及のためにはこうした有益な製品を適正に評価できる仕組みが必要です。

□まとめ

今回は、工場での脱炭素化のメリットや具体的な施策について紹介しました。
脱炭素化のメリットから具体的な取り組みまでをご理解いただけましたでしょうか。
本稿を参考にして脱炭素化を進めていただければ幸いです。

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