近年、SDGsの概念の広まりの影響もあり、持続可能な開発への注目が高まっています。
多くの企業にとって、二酸化炭素の削減は課題のひとつでしょう。
そこで今回は、二酸化炭素を削減する方法と、そのための技術であるCCSとCCUSについて紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。

□二酸化炭素を削減する方法をご紹介!

ここでは、2つの方法を紹介します。

1つ目は、使う電気を再生可能エネルギーに切り替えることです。
この方法の一番のメリットは、導入費用がかからないことです。
電力プランを変更したり、電力会社を切り換えるだけで導入ができるため、負担が少ないです。

ただし、電気代を削減することにはつながりにくいため注意が必要です。
再生可能エネルギーを使用した電力は割高になる傾向があります。

また、電力会社を選ぶ際には、倒産リスクについて考慮しておく必要もあります。
再生可能エネルギーを扱っている電力会社の中には、「新電力」と呼ばれる大手でない電力会社もあります。
このような会社は、電力価格の高騰によって倒産するリスクが比較的高いので注意しましょう。

参考までに、再エネ「100%電力プラン」を提供している電力会社を以下に紹介します。

・グリーナでんき
・東京電力エナジーパートナー「アクアエナジー100」
・NTTスマイルエナジー「太陽のでんき」
・ミツウロコグリーンエネルギー「ミツウロコグリーンプラン 非FIT電気100%」
・中部電力「CO2フリーメニュー」
・みんな電力「ENECT RE100プラン」

2つ目は、省エネをして二酸化炭素を減らす方法です。
使用する電気量自体を抑えることも、二酸化炭素を減らすことにつながります。

例えば、製造業における使用する電気量の内訳は、生産設備が8割以上、残りが照明や空調です。
生産設備にかける電気量は抑えられなくても、残りの2割弱にあたる照明や空調にかかる電気量を節約することで省エネできます。

そこでここでは、省エネをする方法とその効果を紹介します。

まず、フィルターの清掃です。
フィルターを2週間に1度程度の頻度で清掃するだけで、冷房時には4パーセント、暖房時には6パーセントの省エネになります。

続いて、熱交換機(フィン)の清掃です。
長期間行わなかった場合に比べると、行った場合には約27パーセントの節電が見込めます。

部屋に応じて適温を設定することも効果的です。
1度最適化するだけで約10パーセント省エネになります。

また、冷水出口温度の設定も変更できます。
例えば7度から9度に上げた場合には8パーセントの電力を抑えられます。

少しの工夫の積み重ねで電力量を大きく抑えられることがお分かりいただけたと思います。
取り組めることから取り組んでいきましょう。

□CCS・CCUSはCO2削減のために不可欠な技術!

*CCS・CCUSとは

「CCS」「CCUS」は、どちらも産業活動による二酸化炭素排出量を抑えるための取り組みです。

CCSは、「Carbon dioxide Capture and Storage」のことで、日本語で「二酸化炭素回収・貯蓄技術」と呼ばれます。
排出された二酸化炭素を集め、地中にある貯留層に貯蓄・圧入します。
一方、CCUSは、「Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」のことで、集めて貯留した二酸化炭素を有効活用しようというはからいです。
アメリカを例に挙げると、二酸化炭素を油田に圧入し、原油を押し出すことで二酸化炭素の削減と石油の増産を同時に実現するというビジネスが生まれています。

国際エネルギー機関(IEA)によると、CCUSは2070年までに累積二酸化炭素削減量の15パーセントを担う技術として期待が高まっています。

*苫小牧でおこなわれた日本初のCCS実証試験について

日本においても、CCS・CCUSによる大幅な二酸化炭素削減が期待されています。
ここでは北海道の苫小牧で行われた実証実験で得られた3つの効果についてお伝えします。

1つ目に、累計圧入量30万トンを達成し、システムを実証しました。
この実証実験では、製油所から供給されるCO2を含むガスを、隣接するCO2分離・回収/圧入設備までパイプラインで輸送し、CO2を分離・回収して、海岸から3から4キロメートル離れた海底下の貯留層へ圧入・貯留するという作業を行いました。
その結果、目標としていた累計二酸化炭素圧入量30万トンを達成しました。

2つ目に、安全性を実証しました。
実用プロジェクトと同じような設備構成で実証され、システムの創業や安全性、環境管理についても確認され、CCSが安全かつ安心できるシステムであることが認められています。

また、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震の際には、有識者会議が行われ、この地震によるCO2の漏洩がないこととともに、CO2を地中に貯留することとこの地震との因果関係があるとは考えられないという共通認識を得ました。

3つ目に、情報を公開し、CCSの理解を図りました。
現場見学会が実施された際には、延べ1万人が参加し、苫小牧周辺におけるCCSの認知向上に貢献しています。

□まとめ

今回は、二酸化炭素を削減する方法と、近年注目されているCCS・CCUSという技術についてお伝えしました。
この記事を読んで、二酸化炭素削減への理解を深めていただければ幸いです。

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